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書評コーナー

季刊誌53号より

死の灰と闘う科学者(岩波新書 青版 834) [新書]

死の灰と闘う科学者

■三宅 泰雄 (著)/岩波新書(アンコール復刊)
 ■ISBN-10: 4004111072
 ■ISBN-13: 9784004111078
 ■18 x 10.7 x 1.6 cm 240ページ 価格760 円(税別)


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この本を購入するきっかけとなったのは、NHKのETV特集「海の放射能に立ち向かった日本人〜ビキニ事件と俊鶻丸(しゅんこつまる)〜」 (2013年9月28日放送)です。1954年3月にアメリカがビキニ環礁で行った水爆実験で被曝した第五福竜丸の事件とその後の日本の科学者たちによる 海の放射能汚染の調査を描いたドキュメンタリーです。気象学、水産学、放射線測定などの多職種の若き科学者たちが乗り込み、 放射性物質は海水で薄まると主張していたアメリカ(現在日本政府とダブります)に動かぬ証拠を突きつけたのです。水爆の機密に関連する調査なので、 “米軍の潜水艦から沈められる”というまことしやかな噂も流れる中、彼らは決死の覚悟で調査にあたりました。

是非、再放送があればご覧頂きたいし、オンデマンドでも視聴可能と思います。その調査の顧問団の一員であった三宅氏の1972年の 著作がアンコール復刊されていて、迷わず購入しました。内容は古さを全く感じさせません。三宅氏の危惧していたことが、まさしく 進行していったのだと恐ろしくなります。第五福竜丸記念館を訪れたこともある私としては俊鶻丸の存在を今まで知らなかったことを恥じています。(き)