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書評コーナー

季刊誌38号より

新版 病院で聞くことば辞典

病院で聞くことば辞典

浜 六郎著/岩波書店
 ■13cm x 18.8cm 250頁 価格1900円(税別)


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日本経済新聞の連載記事をまとめた『病院で聞くことば辞典』(2002年3月発行)の多くの項目で内容を改訂し、 新しい項目も加えたのが本書です。

新たな用語は、イレッサ、タミフル、SSRIなどの新薬、そしてアトピー皮膚炎、うつ病、せん妄、間質性肺炎など薬剤との関連を 重要視すべき症状や疾患です。このことに、初版刊行から10年足らずの日本の医療がどのような経過をたどったのかが明確に現れています。 本書の「新版にあたって」で著者が述べていますが、「新剤の登場に合わせて、新たな病気が作られ、(その新剤への)需要が喚起され」てきた、のです。

でも、医療の消費者としては、ただ薬剤を処方されるだけの無力な存在に甘んじることはできません。権威者とされる大学教授や 国の審議会などの情報を鵜呑みにせず、患者の思いにかなった、患者に役立つ「ほんまもん」の医療情報を手にすることが大切だと思います。 本書はそれを届けてくれる1冊です。「薬のチェック」は、まさに「命のチェック」だと、本誌のタイトルの意味が、改めてわかった気がします。(み)