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書評コーナー

「薬のチェックは命のチェック」で取り上げた書籍を紹介しています。

季刊誌28号より

痛みと麻痺を生きる 脊髄損傷と痛み

脊損痛研究会・著/日本評論社

痛みと麻痺を生きる 脊髄損傷と痛み

痛みは、本人にしかわからない。がんの痛み、リウマチの痛み、陣痛の痛みも、 本人が「痛い」とうったえるのであればそれは「痛い」のだ。医療者は「痛いのはだれでも同じ、 もう少し我慢しなさい」と言い放ってしまいがちなところがあります。 著者「脊損痛研究会」は、脊髄損傷による異常疼痛について当事者の立場から調査・研究する会。 同会が、全国の脊損の人々へアンケートや聞き取りなどを行い、その実態を調査したことを契機に、 啓蒙書としてまとめられたものが本書です。

脊髄損傷の痛みとはどういうものか、脊髄の仕組みなどを解説した第1章。 第2章は、脊髄に損傷を受けた患者本人による12編の手記。第3章「慢性疼痛への取り組み」では、 国際疼痛学会など医療界の取り組みを紹介し、新しい治療法に期待しつつ、警戒も忘れていない。 曰く『患者にとって治療の突破口を開く唯一の道であるが患者自身の痛みの患いと思いとから距離のあるところで 「利益」が追求される懸念もある。(略)患者は、今後やがて増えていくであろう「新しい治療法」の情報や 治療法提案に振り回されない見識も必要となるかも知れない』と。(さ)


■ 18.6×13.2cm 261頁/本体価格1600円(税別)

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