医薬ビジランスセンター(NPOJIP)へようこそ

書評コーナー

薬のチェックは命のチェックで取り上げた書籍を紹介しています。

季刊誌18号より

もう牛を食べても安心か

福岡伸一 著 文春新書

もう牛を食べても安心か

BSE患者が、日本で初めて報告されたこともありタイムリーな出版である。BSEのことだけでなく、人体、地球環境、移植医療、犯罪捜査まで筆者の筆は進む。この本を読めば、牛の全頭検査がなぜ必要か、アメリカの圧力に負けて基準を緩和することがどれだけ危険かがよくわかる。全頭検査見直しに道を開くべく活動する専門家や、勉強不足のマスコミを批判している。彼らはフグ中毒とBSEとを比較して、フグ中毒で死ぬ人の数の方が多いとのたまうのだ。さらにうつ病に対するSSRIの作用機序やアトピーの原因についても新たな視点を与えてくれる。羊頭狗肉という言葉は見かけ倒しのことだが、この本の場合は全く逆で、BSEを入り口にして実に多くのことを教えてくれる。"牛頭を掲げて科学/環境/論理を売る"本である。


■新書版:242ページ/¥720 (税別)

ご購入はこちらからできます