医薬ビジランスセンター(NPOJIP)へようこそ

書評コーナー

薬のチェックは命のチェックで取り上げた書籍を紹介しています。

季刊誌14号より

ある日、化学物質過敏症

山内稚恵著/三省堂

ある日、化学物質過敏症

ある日突然、身の回りにある化学物質に反応して日常生活を送ることが難しくなる、それが「化学物質過敏症」という病気。著者は慣れ親しんで使ってきた油絵の塗料がきっかけで、化学物質過敏症を発症します。発症以来7年間、毎日複数回の掃除、洗濯、入浴をして、体についた化学物質を取り除く生活を続けています。毎日の化学物質との闘い、病気ゆえの愛犬との辛い別れ、著者を支える家族の絆が描かれていて、この病気の患者が日常生活を「普通に」送ることがいかに大変か伝わってきます。

そもそも生活をより便利に、清潔にしようとして作り出してきたはずの化学物質。体に蓄積された化学物質がその人の許容範囲を超えた時、それによって逆に苦しむことになるのです。恐ろしいことです。この本を読んで改めて身の回りを見渡してみると、現代の生活がいかに化学物質に囲まれているか気づきます。どんな風に化学物質と付き合って行くか、改めて見直す必要があると思います。(ど)


■18.2×12.8㎝:240ページ/¥1,400 (税別)

ご購入はこちらからできます