インフルエンザは少しきついかぜ
インフルエンザにある種の解熱剤を使うと脳症の危険があるということでやっと厚生労働省(厚労省)が規制をするようになりました。ところが、2002年から2003年にかけての冬は「インフルエンザはかぜじゃない」というキャンペーンがされて、「インフルエンザはこわい」「インフルエンザはワクチンで予防しましょう」「インフルエンザの検査キットが足りない」とマスコミを挙げての大騒ぎになりました。次の年は、「SARSに備えてインフルエンザワクチンを打ちましょう」キャンペーンが始まりました。
恐怖を煽るような情報と、「これで解決」といった情報ばかりが溢れて、人々は右往左往させられています。
本当にインフルエンザはそんなに怖いのでしょうか? かぜとインフルエンザは違うのでしょうか? 違うとしたらどのように違うのでしょうか。インフルエンザワクチンは本当に必要なのでしょうか。解熱剤の怖さは子どもだけでしょうか。検査は本当に必要なのでしょうか。インフルエンザの特効薬は本当に効くのでしょうか。
「かぜくらいで仕事を休めないから明日までに治してほしい」「インフルエンザで受験に失敗したら怖いからワクチンを打っておきたい」「夜中でも買える薬局があればよいのに」という声もよく聞きます。
かぜやインフルエンザは、このようにみなさんの生活に密接に関係していますし、質問もたいへん多いテーマです。
さて、かぜとインフルエンザそして、薬について、一緒に考えてみましょう。
特集
■かぜですぐ受診はやめよう Q&A
■コラム SARSに備えてインフルエンザ・ワクチン?
■冬よ 来ないでくれ!
■インフルエンザの症状が出たらどうする?
■かぜぐすりの副作用
■タミフル最新情報
・乳幼児にはタミフルは禁止に
・インフルエンザ予防にタミフルは無効
連載
■リレーエッセイ かぜの季節を迎えて
■映画の中のクスリ 6
鎮痛剤タイレノールとアスピリン
■映画 番外編 『マトリックス』『シュリ』
■編集長インタビュー
坂下裕子さんに聞く グリーフケアと「いのちの授業」
■みんなのやさしい生命倫理 12
日本の生命倫理の歴史(4) 医は仁術の限界
■薬害の歴史(8) 薬害ヤコブ病
キノホルムはスモンの特効薬!?
新連載
■ぷちいのちジャーナル
ニセ助産師
■EBM超入門(1) 「財布で人生が大好転」!?
トピック
■被害から学ぶ薬害教育を
■医薬品をコンビニで買えるのはよいこと?
■質問箱
Q:ステロイド外用剤は危険であるのに、ステロイド吸入剤が第一選択薬なのはなぜか
提言
■NPOJIPの提言
医薬品評価に科学的議論の場を
■書評
・『子どもを選ばないことを選ぶ』
・『ナイチンゲール 神話と真実』
・『小児科へ行く前に 子どもの症状の見分け方』
■NPOJIP書籍申込み用紙
■編集後記
病院でよく聞く言葉
(特集にちなんだ言葉を簡潔に解説)忙しい人はまずここから
○かぜ −抗生物質や解熱剤は不要
○鎮咳剤 −安眠できない時に少量使う
○ワクチンの害 −患者が減少すると、害が効果を上回る
○ワクチン −発病せず免疫だけ作る
(日本経済新聞に浜六郎が掲載していたものを改変。加筆、新しく追加したものを含む)
被害から学ぶ薬害教育を
―薬害被害者団体と文部科学省の交渉―
勝村久司 (「医療情報の公開:開示を求める市民の会」事務局長、「薬被連」副代表世話人)
はじめに
「薬害の実態、被害者に学べ 講義計画の国立大4倍増」
2003年9月8日付け朝日新聞に掲載されたこの見出しの記事は、以下の書き出しで始まっています。
「薬害の被害者を講師に招き、原因や被害の実態を医師の卵に学ばせる――。こんな薬害講義を計画する国立大医学部が来年度以降は27大学と、今年度の7大学から4倍に増えることが文部科学省(文科省)の調査でわかった。薬害被害者の視点に立った医学教育実現への動きだが、文科省は『まだ十分とは言えない。今後も薬害に関する教育の充実を働きかける』という」
全国薬害被害者団体連絡協議会(薬被連)が、1999年から5年にわたって、毎年夏に文科省と交渉してきた成果の一つがようやく現れようとしているのです。
(以下、引用省略)
詳しくは本誌で。