(2007.2.5号)

『薬のチェックは命のチェック』インターネット速報版No75

薬のチェックが加盟している国際医薬品情報誌協会(ISDB)は、2月2日、一般市民向けにはインフルエンザに対してタミフル(オセルタミビル)の使用を控えること、WHOに対して新型インフルエンザ対策としての備蓄を中止するように要請する声明を発表した。これは、「薬のチェック」やFDAからの情報から、タミフルでは利益よりも害の面が急速に増大してきていることをうけ、ISDBとして声明を出すことにしたものである(原文はこちら)。

国際医薬品情報誌協会(ISDB)声明

どちらが危険? インフルエンザとタミフル?

連絡先:浜六郎

日本をはじめ多くの国で、普通のインフルエンザに対してオセルタミビル(タミフル)の使用が推進されています。先進諸国のうちのかなりの国の政府やWHOまで、新型インフルエンザのパンデミックの対策としてタミフルを備蓄しています。

タミフルを通常のインフルエンザの治療や予防に使用する場合と、仮定として考えられているインフルエンザ・パンデミック(世界的大流行)の間の治療や合併症予防について知られていることに関して混乱が見られます。

通常のインフルエンザは自然に治まる軽い感染症であり、普段は健康な人も、もともと病気を持っている人にも、インフルエンザに伴う重篤な合併症の頻度や重症度を低下するという証拠は何もありません。タミフルはせいぜい1日、症状が治まるのが早くなるだけです。これは治療効果としてあまり価値はありません。

タミフルが通常のインフルエンザの流行時に家族の感染を防止するという証拠も何もありません。

これまでのところ、鳥インフルエンザは、ヒトに世界的な流行を起こしてはいません。新型インフルエンザのパンデミックに際して有効であるという証拠は何もありません。

タミフルは吐き気や嘔吐をよく起こします。異常行動からの事故死や呼吸抑制から突然死するといった重篤な副作用を起こします。使用量の多い日本からの報告が主ですが、タミフルによる精神・神経系の副作用が確実に報告されていることを受け、米国のFDAは精神・神経系の副作用の害について警告しました

そこで、ISDBは、タミフルは害が益よりも大きいということを考慮し、市民の皆さんに対して、通常のインフルエンザにはタミフルを使用しないように呼びかけます。タミフルは通常のインフルエンザにお金を出して使うという価値はありません。

ISDBは、新型インフルエンザのパンデミックに際して役立つという確実な証拠はないので、WHOに対して、タミフルの備蓄を中止するように求めます。WHOによるタミフルの備蓄は、タミフル(オセルタミビル)の過剰使用につながるものであると考えます ("An iatrogenic pandemic of panic" BMJ 2006; 332; 786-788)。

2007年2月2日

ISDB(国際医薬品情報誌協会)


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