(2006.10.28号、11.1改訂

『薬のチェックは命のチェック』インターネット速報版No71

厚労省研究班のデータを正確に読めば
タミフルで1.7倍以上、19人に1人がよけいに異常言動

——厚労省研究班の公表データを検証した結果——

まとめ

「インフルエンザに伴う随伴症状の発現状況に関する調査研究」(主任研究者:横田俊平横浜市立大学教授)が、インフルエンザ罹患時の異常言動とタミフル使用との関連は認められなかった、とする調査報告書(以下、報告書)を発表した[1,2]。

しかしながら、この報告書では、タミフル使用時の発症割合を過小評価し、未使用例を過大評価する計算方法が用いられている。報告書に記載されたデータを用いて可能な限り報告書に近い方法で、正確を期して再計算したところ、タミフル使用例は、使用していない状態に比し、少なくとも1.7倍(オッズ比)異常言動を起しやすくなることがわかった(関連は有意)。NNH(害を生じる必要数)が19であることから、タミフル使用により19人に1人が余計に異常言動を起こしうることも判明した。

この研究には、調査票に非ステロイド抗炎症剤の記載欄そのものがなく、したがって、非ステロイド抗炎症剤の使用は全く調べられていないこと、タミフル使用例が未使用群に容易に混入する可能性のある調査票であること、さらには、異常言動の軽症例が極めて多く混入する手法のため、重大な害の検出が困難になっている可能性があること、計算方法ではタミフルの服用を中断した例の計算が考慮されていないことなど、異常言動との関連が出にくくする欠陥ともいえる重大な問題が多数ある。

これらは、第三者が補正を試みようとしても不可能であるが、それらが仮に適切に処理される調査が行われれば、オッズ比はさら大きくなり、タミフル使用群と未使用群との差は大きくなると思われる。第三者によるこの調査の再検討、タミフルによる利益と危険とのバランスの再検討が必要である。

はじめに

国は、2004年6月、インフルエンザ用薬剤タミフルによる異常行動について、重大な副作用と認識し、警告を発した。ところが、昨年(2005)11月にNPO法人医薬ビジランスセンター(薬のチェック)が異常行動から事故死した2例と睡眠中突然死した1例を報告したところ、その後、「明らかな関連が認められない」として実質的に関連を否定し続けている。さらに今回、国の研究班では、インフルエンザ治療に処方されたタミフルと異常行動との関連について調査し、このほど、関連を認めなかったとする趣旨の結果を発表した。

表向きは、「今回インフルエンザに伴う随伴症状の調査、処方の実態調査を実施した。」とし、タミフルとの関連を調べることが主目的であるとはしていない。しかしながら、結論部分で言及している薬剤がタミフルだけであること、昨年末よりメディアによる異常言動の報道に言及していることから、その目的がタミフルと異常行動との関連を検討することが目的であったことは明らかである。

というよりはむしろ、報告書全体を見てみると、実質的には、タミフルとの関連を否定することが目的であったのではないか。

「明確な結論を導くためには今後の検討が必要である。」としながらも、「医師および患者家族に調査票を個別に配布することによって、より精度の高い情報を得ることが可能となった。」とし、「多重解析の結果、タミフルと異常言動、けいれん、熱性けいれん、意識障害出現の関連には明らかな有意性はなかった」ことを唯一の結果として結論に記載している。しかし、その調査方法は極めてずさんであり、この結論は信用できない。

これでタミフルが異常行動を起こさないと思う人があるとすれば、極めて危険なことといわなければならない。

この調査は問題だらけである

  1. 仮説がない

    そもそも、この種の疫学調査には「仮説」がなければならない。この調査の場合、明瞭に「タミフルと異常行動の関連はない」あるいは逆に、「タミフルと異常行動の関連がある」との仮説が検証されなければならない。

    ところが、この調査の「目的」をみても仮説らしいものが全くない。調査目的のまとめは、「インフルエンザに伴う随伴症状の調査、処方の実態調査を実施した。」とあるだけである。要旨にむしろ目的らしいものが記載されている。骨子を要約すると、「インフルエンザで乳幼児に発症する脳症の、発熱後けいれん、意識障害、異常行動・言動が、脳症の前駆症状か、それともインフルエンザの一般的な随伴症状か、あるいは治療に使用した薬剤の影響が拘わっているのかなどが不明なので、症状と使用した薬剤との関連(を知る目的で)、調査し、統計学的解析を行った。」

    何との関連を主要に検証するのか、つまり主要な仮説がない。ということは、検証目的としたタミフルとの関連についても、まじめに、真剣に検証しようとする態度がないことをそもそも最初から示しているといえる。

  2. 基本的に比較試験でないため信頼できない

    異常言動の有無を正確に知るためには、本来、ランダム化比較試験でなければならない。インフルエンザは自然治癒する疾患であり、プラシーボを用いた臨床試験を実施するのに、何ら倫理的障害はない。

    せめて、プラシーボ対照でなくとも、タミフル非使用例と比較するべきである。タミフル群の全経過における異常言動の発症割合と、非使用例の全経過における、異常言動の発症割合の比較をすべきである。

    ところが、報告書では、非使用例ではなく、タミフル使用例における使用前の状態をタミフル未使用時期とし、その情報をもあたかも非使用例であるかのように加えて比較している。タミフル使用例と、未使用時期との比較可能性について点検をすることなく、比較している。

  3. タミフルは19人に1人、異常言動を増やす可能性が
    1. タミフルは、未使用に比し1.7〜1.9倍、19人に1人、異常言動を増やす

      報告書は、種々の方法でタミフルによる害を小さくみせる工夫がなされ、調査方法にも問題が多い。詳しくは後述するが、ここではその項目のみ指摘しておく。たとえば非ステロイド抗炎症剤の記入欄が調査票になく使用の有無不明、有症状時や薬剤使用例のみチェックする方式のため誤分類を生じやすく、タミフル使用例が未使用に誤分類されやすい。調査票には異常言動の例として軽症例がいろいろと示されているが、死亡の危険も伴うような行動異常の重症例は例示されていないし、それを記入する欄もないため、重症よりも軽症例が検出されやすい。軽症例が多数混入し調査方法に問題があったことは報告者も一部認めている。

      以上のような問題点があるため調査方法自体バイアスが入りやすいと考えられるが、この調査データをそのまま用いても、インフルエンザ罹患時における1日目の異常言動発症割合の合計は、タミフル未使用例5.1%、タミフル使用例9.5%、オッズ比1.9(p<0.002)、NNH=23であった。全経過でみると、タミフル未使用例8.9%、タミフル使用例14.3%、オッズ比1.7(p=0.006)、NNH=19であった。

      すなわち、タミフル使用1日目には、未使用時に比し1.9倍、23人に1人の割合でよけいに異常言動が増え、経過全体では未使用時に比較して1.7倍、19人に1人の割合で異常言動が増加すると考えられた。

      報告書の計算方法とその問題点について述べる。

    2. 報告書のタミフル服用者における発症割合の計算方法の基本

      薬剤報告書では、薬剤服用の有無と症状の有無を、1日を、朝6時〜12時、昼12時〜18時、夜18時〜翌日朝6時に3分割して、服用の有無、症状の有無を医師および家族に記載させるようにしている。

      発病初日の朝は330人、昼は307人、夜には439人にタミフルが開始され、異常言動は朝1人、昼12人(朝にすでに開始した患者330から6人、昼開始した307人から6人)、夜に54人(朝と昼の既使用者637人から28人、夜開始した439人から26人)が異常言動を発症したと報告されている。

      報告書では、累積発症頻度とその危険度(ハザード比)を、COXの比例ハザードモデルを使用して計算している。

    3. 発症割合の基本的な計算方法

      COXの比例ハザードモデルによる解析には個々のデータが必要であり、報告書に記載されたデータでは第3者による再解析は不可能である。そこで、公表されているデータを用いて再解析が可能な方法として、未発症頻度を計算し、それを積算して1から引き算する、いわゆる、life table method (生命表法:LMT法)によって計算し、検証した(各区間のタミフル開始者数:p18資料4-5、および異常言動発症数、区間内の発症割合:p20資料4-7(1))。

      通常、生命表法では、一定区間ごとにイベント発生率を求める。その際に、区間内に脱落者がなければ開始時の人数が分母になる。しかし、区間の途中で脱落が生じると、その数を区間内に均等に脱落が生じたと仮定して、区間内脱落数の半数を減じた数を分母として区間内の発症頻度を求める。タミフル未使用例では、タミフル使用例は確実に脱落することになるため、第1日の朝では2846人から330/2=165人を減じた2681人を分母とすべきである。

      一方、タミフル服用者では、対象者が順次追加される。この場合、区間内に均等に増加していったと考えて、1日目の朝には330/2人が分母となる。1日目の昼は、330人+昼の開始者307/2=483.5人が分母となる。また、副作用など何か変わった症状が出現すると服用を中止する場合が少なくない。この場合には服用を中断するので、それは脱落例として扱う必要がある。区間内の2分の1、区間後にはさらに残りの半分も脱落させる必要がある。

      また、一旦服用を開始しても、異常言動以外の副作用によっても中断する可能性もある。副作用がなくとも服用を中断する可能性もあるので、その脱落も考慮しなければならない。報告書の解析担当者に問い合わせたところ、中断はあまりなかったと思うとのことであるが、正確なデータは不明である。

    4. 報告書の方法ではタミフル服用例の発症割合を過小に、 未使用例の割合を過大に計算したことが疑われる

      報告書に参考データとして示された、各区間のタミフル開始者数(p18資料4-5)、および異常言動発症数、区間内の発症割合(p20資料4-7(1))は、生命表法を用いた際に1日目の朝(6時から12時まで)のタミフル使用例の分母を330人とした値と非常によく似ている。

      この計算は、330人全員がタミフルを朝6時に服用したと仮定した場合にのみ成り立つものである。

      現実には、医療機関の診察は通常朝9時から始まり、診察を終えてタミフルを服用するのはさらに遅くなるであろう。その意味では、330人の半数としても多すぎるくらいである。ただし、昼に服用を開始した人は、午前に診察を受けて帰宅後に服用した人が多いと考えられ、朝と昼を通して考えると、均等にタミフル使用例として参入してきたと考えてよいであろう。

      報告書では、異常言動やその他の副作用で脱落した人、副作用以外の理由でも中断した人を全く考慮しない計算となっている。この点でもタミフル服用例の分母が過大に評価され、発症割合は過小となる。

      一方、報告書に報告された未使用時における累積発症割合(p20資料4-7(1))は、たとえば第1日朝の場合、タミフル未服用例の分母として、2846人から330人を差し引いた2516人を採用した値とほぼ同じである。これも、朝6時に330人全員がタミフルを服用したと仮定した場合にのみ成り立つ発症割合である。しかし、現実はそうでないことは、タミフル使用例の計算ですでに述べたとおりである。

      また、異常言動などの害反応による中断の場合の組み入れをどうするかは議論があろうが、その他の理由で服用を中断した人を分母に含ませていない。したがって、タミフル未使用例では分母が本来より小さくなるため、発症頻度が本来の値よりも高くなる。

    5. 異常言動累積発症割合の結果:報告書と当センターの結果の違い

      報告書では、全経過中の異常言動の出現頻度は、タミフル未使用時10.6%、タミフル使用者11.9%であり有意の差はなかったと述べている。

      しかしながら、NPO医薬ビジランスセンターで計算したところ、タミフル未使用例は8.9%に対して、タミフル使用例は14.3%、オッズ比1.7(p=0.006)であった(NNH=19)。

      タミフル未使用例においても異常言動が最も高頻度に発症すると考えられるインフルエンザ発症1日目の終了時点で見ると、非使用時には、5.1%、タミフル使用例では9.5%であった、オッズ比は1.9(p<0.002)であった(NNH=23)。

      以上、少なく見積もってもタミフルは、タミフル未服用状態、あるいは他の薬剤のみの使用中に比較して1.7倍、異常言動を起しやすい。タミフルにより1日目だけで、少なくとも23人に1人、全経過では少なくとも19人に1人、異常言動を余分に起こすといえる。

      そして、この結果は、以下に述べるように、タミフルによる異常行動を的確には捉えることができない手法によって実施されたものであり、適切な調査計画のもとで実施されれば、その差はもっと大きなものとなる可能性が大いに示唆される。

      なお、ある区間におけるタミフル開始例中、異常言動が現われたとしても、今回の調査ではタミフル使用後か、使用前かは特定できない。しかし、危険を回避する目的からは、すべてタミフル服用後に現われたと仮定して考慮すべきであり、以上の結果はこの考えで処理したものである。

  4. 非ステロイド抗炎症剤について全く調査していない

    ライ症候群やインフルエンザ脳症など、重症感染後脳症の主要な原因は、われわれがこれまでに検証したとおり、非ステロイド抗炎症剤系解熱剤である。このことは、厚生労働省の研究班(佐藤班)の症例対照研究の結果からも実証されている。

    ところが、今回の調査には、調査票そのものに、ジクロフェナクやメフェナム酸、イブプロフェンなど非ステロイド抗炎症解熱剤の記入欄がまったくない。これでは、タミフル非服用者の異常言動、せん妄が非ステロイド抗炎症剤の影響で出現している可能性があったとしても、その影響について何も解析できない。それどころか、タミフル以外の群におけるせん妄や異常言動の頻度が過大評価される。

    しかも、佐藤班のインフルエンザ脳症の症例対照研究における対照者(つまりインフルエンザは発症し脳症を起こさなかった子)におけるアセトアミノフェンの服用率は84例中48例(57.1%)であったが、今回の調査では39.4%に使用されているだけであった。アセトアミノフェンが使用されなかったのは症例対照研究の対照群では37%に過ぎなかったが、今回の調査では60.6%であった。非ステロイド抗炎症剤の使用は、症例対照研究の対照群では6%だけであったが、今回の調査ではアセトアミノフェンが使用されない分、非ステロイド抗炎症剤がより多く使用された可能性が否定できないであろう。

    いうまでもなく、インフルエンザ罹患時における、おびえや意識障害は、ライ症候群やインフルエンザ脳症の初期症状として重視されている。こうした症状の発現に非ステロイド抗炎症剤が関与していることは明らかであるから、そうした既知の例は除いてタミフルとの関連を考察しなければならない。ところが、わざわざ、非ステロイド抗炎症剤を調査項目からはずすという、とんでもない誤りをしている。

    これだけでも、この調査の価値は完全にゼロである。しかもそのことは調査する前から分かっているのである。

  5. チェックもれでタミフル使用例が未使用例に

    薬剤を使用か未使用(非使用)かは、1日を3分割した欄に、使用した場合にチェックマークをつけるだけである。使用しなかった場合に意識して「非使用」にチェックするのではない。したがって、使用していても、チェックし忘れは「使用なし」と解釈される。これは、極めて初歩的な誤分類を誘発する方法であり、疫学調査では回避すべき方法である。

    したがって、「タミフルと異常言動との関連性はタミフルを未使用での発現頻度は10.6%であったのに対し、タミフル使用では11.9%と有意差を認めなかった。」との数値は、仮に報告書の頻度計算方法に誤りがないとしても、額面どおりには受け取ることができない。

    もしも、2日目までで、1区間に1人ずつがタミフルを服用していたのに服用していない方に分類されていたと仮定すると、報告者の解析方法を用いたとしても10.1%対12.3%と2.2%の差が出る。

    さらに、84人の異常が生じたという1日目の夜に、5%(4人)誤分類が生じていたと仮定すると、9.9%対12.7%と、2.8%の差となる。

    第3項にすでに詳述したような発症頻度の計算方法を適切にし、誤分類を適切に補正すれば、オッズ比は1.7〜1.9よりもさらに大きくなり、タミフルが異常言動をより起しやすいという結果になるであろう。

  6. 重症例を、軽微な症状の例で薄めたのでは

    患者家族や医師に示された異常言動の症状の例は、主にライ症候群やインフルエンザ脳症の発症初期の言動から抜き出したものであろう。「ウワゴト」程度に相当するような、極めて軽微な症状も多数含まれる。一方、タミフルですでに生じたことが知られているような、窓から飛び降りる、飛び降りようとする、外に出て走り事故にあう、呼吸困難、チアノーゼなどの症状については、記載するための欄すら用意されていない。

    したがって、最も危惧される事故死につながるような重篤な異常行動ではなく、その多くが軽微な症状であると考えられる。タミフル未使用の対照群でさえ10%もの頻度で異常言動を生じたとしている(われわれの再計算でも8.7%の頻度であった)ことが何よりも、このことを物語っている。

    強い症状の異常行動が本来問題であるのに、これらのごく軽い症状のものが多数加えられると、単なる高熱時でも出るような軽微な症状がタミフル未服用群にも多数生じるため、使用群との差が目立たなくなる。そのためにより異常言動発症割合の差が縮まっている可能性が大いに疑われる。

    軽い症状を入れて本来の差が出にくくする手法は、2000年度の症例を用いたインフルエンザ脳症の症例対照研究(佐藤班)においても見られる。

    佐藤班の調査報告書のデータを用いて死亡脳症と非ステロイド抗炎症剤の関連を求めるとオッズ比47(p=0.0019)という有意の関連が認められる。非ステロイド抗炎症剤を使用すると使用しない場合に比較して、死亡するような重症脳症を47倍起しやすいといって間違う可能性は1000の2つもないということを意味する。通常間違う可能性として20に1つ以上、間違う可能性がなければ、統計学的に有意の関連といえるので、この可能性は極めて信頼できる。

    ところが、佐藤班の報告書では、非ステロイド抗炎症剤との間には有意の関連が認められなかったとしている。その最大の理由は、「インフルエンザ脳症」という症例の中に、後遺症もなく軽快した例や、単に軽症後遺症例などを混入したことだ。しかもその数が極めて多いのが特徴である。死亡脳症例の4倍以上もの軽症例を一緒にして集計したのである。それでも、非ステロイド抗炎症剤をどちらかを使用した例の頻度で比較すると有意の関連があった。そこで報告者はどうしたかというと、個々の非ステロイド抗炎症剤を別々に集計して(ジクロフェナクとメフェナム酸を別に集計して)やっと、関連は有意でなくなったのである。

    非ステロイド抗炎症剤と脳症との関連の可能性は残されていることを報告書でも指摘しながら、この佐藤班をはじめ、インフルエンザ脳症関連の研究班では、その後非ステロイド抗炎症剤については一切扱わなくなってしまった。今回のタミフルの異常言動に対する影響を検証する際にも、重症脳症の原因になり同様に異常言動を生じうる非ステロイド抗炎症剤の情報を全く聴取していない。これでは、タミフルによって生じたものか、非ステロイド抗炎症剤によるものかわからない。

  7. 試験計画自体が、差を出さなくするため作為的

    非ステロイド抗炎症剤の使用について調査票からその項目を抜いたこと、タミフル使用例が非使用(未使用)例に誤分類される可能性の高い調査票としたこと、軽症例を多数混入する方法は、いずれも、タミフルと対照群との差を小さくする方向に働く。

    このような、非ステロイド抗炎症剤を調査項目から除き、誤分類が容易に生じるよう、また軽症例を多く混入させる調査計画が立てられたこと自体、大問題である。

    さらに、累積発症率の計算には、一旦タミフルを服用すればずっと服用が継続されたと仮定した計算がなされるなど、タミフル使用例から脱落を少なくして分母を過大にし、発症割合を過小評価し、未使用例から脱落を多くして分母を過小にして発症割合を過大評価する方法が用いられている。

    示されたデータを利用し、NPO法人医薬ビジランスセンター(薬のチェック)で可能な限り報告書に近い方法で、正確を期して再計算をしたところ、タミフルの使用により少なくとも約2倍、19人に1人が余計に異常言動を生じる可能性がでてきた。

    きちんとした計画の調査がなされ、適切な計算方法が採用されたならば、この差はさらに大きくなり、タミフルは異常言動を顕著に増加すると結論されるであろう。

    今回の報告では、報告書自体認めているように不完全な調査であり、「関連なし」との示唆はまったく得られないものである。このような、不適切な調査で有意の関連が認められなかったといっても「関連なしの証明」には全くならないことは明らかであり、むしろ関連が強く示唆される。

緊急に警告する!

国民の皆さん! マスメディアの皆さん!
決して、この虚偽報告にだまされないように

参考文献

  1. 厚生労働科学研究費補助金平成17年度分担研究報告書
    「インフルエンザに伴う随伴症状の発現状況に関する調査研究」(主任研究者:横田俊平横浜市立大学教授)
  2. 医薬品・医療機器等安全性情報 No.229

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