line1_1.gif

 

star01e.gif ワクチンの害 患者減少すると顕著にstar01e.gif

 

  

  

  ワクチン(予防接種)は菌やウイルスを弱毒化したり、活動力を無くすために種々のもので処理するし、菌やウイルスを培養するために卵を利用したり、添加剤を入れたりしてある。そのため、もともとの菌が感染力を持って感染症にかかったり、ショックや脳症などを起こして、重い後遺症を残すなど、一定の割合で副作用が伴う。たくさんの人に接種すれば、それだけ多数に害が現れる。

 たとえば、日本脳炎は以前多数の患者が発生して死亡率も高かった頃には、ワクチンの害よりもワクチンで救える人が多く意味があった。病気にかかる人を同じ率で少なくできても、発生患者数がはるかに少なくなった現在では、ワクチンによる予防の恩恵にあずかれる人数ははるかに減少した。しかし副作用は基本的には減らないので、ある程度まで減れば、副作用の害の方が逆に大きくなる時がくる。

 たとえば、1億人の人口の中で、毎年1000人が死亡する感染症があり, 全員に予防接種をして90%の効果があり、300 万人に一人の頻度で副作用の害で死亡した(30人)。その結果ワクチンで救えた人数は差し引き 870人で予防接種の効果は圧倒的だ。

 しかし、食事や暖房などで予防接種をしなくとも、毎年10人しか死亡しなくなった時代になってもこの予防接種を1億人全員に行うとどうなるか。10人中90%の9人は病気で死亡しなくなるが、ワクチンの製法で多少害が少なくなって半分に減ったとしても害による死亡が15人である。結局、ワクチンの害で死亡する人数の方が6人多いことになり、予防接種の意味がないことになる。

このように予防接種を考える場合には、病気そのものの変化に応じた効果と害とを時代の変化に応じて調査しながら予防接種の是非を検討する必要がある。しかし、日本の現状ではあまりそのような厳密なことは行われていない。日本脳炎がこのよい例である。インフルエンザの予防接種は外国では一応適切な研究で効果が確かめられているが、日本のワクチンは効果に疑問が持たれて学童への義務接種が中止になった後も,適切な方法で,その効果と安全性が証明されてはいない。

日経新聞1999年4月12日付改編

 

line1_1.gif