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star01e.gif 安定剤 依存性の強さ認識をstar01e.gif

 

  

  

 神経症で極度に不安になったり、過剰なストレスで胃潰瘍(かいよう)や狭心症などの身体的症状を起こすような場合に抗不安剤を使用する。この薬剤は精神安定剤あるいは安定剤とも呼ばれている。

 精神分裂病など精神疾患に使用される薬も精神安定剤とよばれ、とくに抗不安剤系の精神安定剤と区別する意味で、強力精神安定剤と呼ばれていた。しかし、この呼び方は今ではほとんど用いず、神経遮断剤と呼んでいる。

 抗不安剤あるいは安定剤は、日常的な腹立ちやイライラなど、誰(だれ)もが経験するような症状には使用すべきでない。睡眠剤と同様に、安定剤も実際には安易に使用されがちである。患者さんは日常生活の中で経験する軽い症状にも安定剤を求め、医師もよく処方する。しかし、睡眠剤と同様、安定剤も基本的には依存性があり、習慣性が生じやすいことを肝に銘じてほしい。

 安定剤の効きが徐々に悪くなり、飲まないと不安やイライラが高まる。お年寄りだと痴呆症状が出ることもある。これが離脱症状。薬を飲めば症状は治まるが必要量が増えてくる。こうなった状態が依存症。

 また効き目が早く現れ、短時間しか効かない安定剤は離脱症状も現れやすいので、ちょっとした不安やイライラには使用しない方がよい。もしこうした理由で薬を使い始めた人は、徐々に量を減らしながら最終的に中止するのがよい。

日経新聞1999年11月8日付改編

 

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