「いま医薬品を見直そう」 シリーズ

 

  

 

第47回 『消化器疾患治療ガイドライン』 今まで知らなかった知識が随所に
      EBM治療ガイドラインシリーズ第二弾

  

1999年12月15日

 

 『消化器疾患治療ガイドライン』で今まで知らなかった知識が随所にある。前回に続いてポイントを紹介。

■ベテラン医師には、セカンドオピニオンとして
■治療ガイドラインで、自身の処方と比較を

スクラルファート
 抗潰瘍作用が確認された世界的標準薬剤の一つ。スクラルファートが効果を発揮するためには酸性下になければならないので、効果を得るためには、少なくとも食事の一時間前に服用しなければならない。(27ページより)

大腸ファイバースコープ検査の前処置用下剤
 朝の排便、排ガスを確認してから使用のこと。大腸検査(内視鏡、注腸造影)の前処置用の下剤(ニフレックやマグコロールP)の使用に際しては、かならず朝の排便あるいは排ガスがあることを確認したうえで服用するようにしなければならない。なかばイレウス状態に……。(29ページより。114ページの表も参照)

ロペラミド
 ロペラミド(ロペミン)は、コリン受容体阻害剤と、オピオイド作動剤としての二つの特性をもつ合成化学物質である。半減期は約10時間で……。
 〔感染性腸炎、潰瘍性大腸炎、過敏症患者には禁忌。特に重症では絶対禁忌。2歳未満の小児には禁忌。6カ月未満は絶対禁忌。6歳以上でも、第一選択薬剤とすべきでない〕(31ページより)
☆メトクロプラミド
 錐体外路症状の副作用の現れ方は、年齢によって異なる。
・筋緊張異常反応や身体違和反応:小児、若年者で起こりやすい・アカシジア(静座不能症)は壮年者で起こりやすい・パーキンソニズムは高齢者で起こりやすい。
☆ドンペリドン
 錐体外路系副作用の少ないことが、かえって重大な不整脈に気づかず死亡につながることがある。経口剤や坐剤でも生じ、小児も生じる。防止のための注意は……。
☆シサプリド
 シサプリドは、消化管のあらゆる部位の運動を増強させる。本剤は、ドパミン受容体にほとんど影響を与えないため、錐体外路系への影響はまれである。ときおり、不整脈をひきおこす(ドンペリドンと同様)。…死亡例が報告されている。
 ★シサプリド(メトクロプラミド、ドンペリドンも同様)は、胃の運動機能を変化させるので、他の薬剤の吸収速度や吸収率を変化させる。吸収が悪い薬剤や吸収にバラツキのある薬剤(ガイドライン参照)との併用には注意が必要である。(33ページより)