表1  人の1日(F◆)吸収量(尿中排泄量×2:mg/日)

    低フッ素地域 高フッ素地域
  水道水中フッ素濃度◆ <0.1 ppm 3.2 ppm
 
1.5(0-3.3)
6.7
 
1.1(0-2.3)
4.9

◆:フッ素として
( )内は95%信頼区間(算術平均)。
上限値は1日吸収量として20人に1人に ありうる値である
(幾何平均では、男性8.8mg、女性8.0mgと推計される)。

表2  6ヵ月試験動物の体表面積換算1日フッ素(F◆)吸収量推定値
        (人での1日吸収量に換算した値: mg/日)

    水のフッ素濃度(ppm※) 0 10 30 50 100 200 300 600
動物
                 
マウス
  0.3 1.3   7.1 12.3 15.9 29.3 78.3
  0.6 1.8   6.1 12.8 30.5 36.3 56.9
ラット
  0.2 0.8 1.2   4.2   12.9  
  0.2 0.7 1.1   3.7   13.5  

◆:フッ素として      ※:フッ化ナトリウムとして

表3  2年ラット発癌試験(★)の体表面積換算1日フッ素(F◆)
     吸収量推定値(人での1日吸収量に換算した値:mg/日)

  水のフッ素濃度(ppm※) 0 25 100 ☆ 175
動物          
ラット 27週  
0.6
1.8
6.1 ☆
11.2
 
0.6
3.6
6.8 ☆
10.2
66週  
0.6
1.7
6.1 ☆
9.3
 
0.4
1.8
6.4 ☆
14.3

◆:フッ素として  ※:フッ化ナトリウムとして
★:マウス2年間の発癌性試験の尿中排泄量は記載されていない。
☆ :6カ月試験(表2)の同じ用量(100ppm:ラット雄4.2、雌3.7)と比較して吸収量が大きい

表4 フッ素(F◆)吸収量のマウス/ラット比(☆)の推定(6ヵ月試験)

  水のフッ素濃度
(ppm※)
0 10 100 300
 
1.5
1.7
2.9
1.8
 
3.0
2.5
3.5
3.4

☆:体表面積換算値(表2)を用いて計算した
◆:フッ素として   ※:フッ化ナトリウムとして

表5 水道水中フッ素濃度と、斑状歯有病率との関係

  斑状歯有病率 斑状歯有病率
欧米の
水道水中
フッ素濃度
(ppm)
何らか
(%)
  水道水の
フッ素化による
増加分
美容的に
問題以上
(%)
  水道水の
フッ素化に よる 増加分
差(95%信頼区間)
0.1 15     6.3    
0.2 23     6.9    
0.4 33 ┳━━ 15%(48-33) 8.2 ┳━━ 4.5%(-4.5,13.6)
(0.5) (36) ╋┳━ 16%(52-36) (8.8) ╋━┳ (5.7%)
0.7  42   ┃┃   10.0 ┃ ┃  
  (44)  ┃┃   10.8 ┃ ┃  
1.0 48 ┛┃   12.5 ┛ ┃  
1.2 52 ━┛   14.5 ━━┻
2.0 61       24.7    
4.0 72     63.4    

※95%信頼区間が0を含んでいるため、統計学的に有意でない。
しかし、フッ素濃度を増加させれば明瞭に斑状歯は増加するから、
この差は意味があると考えるべきである。
◆日本で水道水にフッ素が0.8ppm添加された場合、
水道水以外からのフッ素摂取量を考慮すれば
欧米で1.25ppmフッ素添加水道水を飲んでいるのと同じことになるので、
見た目に明らかな美容的に問題となる程度以上の班状歯が8.8%から、
14.5%に増加することになる。

表 6 口腔咽頭癌罹患のリスク比(*a)とその95%信頼区間(フッ素化期間別,性別)

    フッ素化の期間(年)
  <5 5〜9 10〜14 15〜19 20〜
アイオワ州 1.2 1.6◆ 1.5◆ 1.6◆ 1.6◆
(0.8-1.8) (1.1-2.3) (1.2-1.9) (1.7-2.1) (1.4-1.9)
0.8 1.6◆ 1.5◆ 1.6◆ 1.6◆
(0.5-1.4) (1.1-2.4) (1.1-2.4) (1.3-2.0) (1.4-1.9)
2.2◆ 1.6 1.6◆ 2.0◆ 1.6◆
(1.3-3.8) (0.9-2.3) (1.1-2.3) (1.4-2.8) (1.2-2.0)
シアトル 1.0 1.2◆ 1.2◆ 0.9
----
(0.8-1.3) (1.1-1.4) (1.1-1.3) (0.8-1.0)  
1.0 1.2◆ 1.3◆ 0.9
----
(0.6-1.4) (1.0-1.4) (1.1-1.5) (0.7-1.1)  
0.9 1.2◆ 1.1 0.8
----
(0.6-1.4) (1.0-1.4) (0.9-1.3) (0.7-1.1)  

(a)同地域の非フッ素化地域の危険度を1.0 とし、これに対する、年齢、歴年、および、
男女合計では性も調整した相対リスク
◆: 非フッ素化地域に対するフッ素化地域のリスク比が統計学的に有意

表 7 全部位癌のO/E比(フッ素化の期間別、性別)

    フッ素化の期間(年)
  <5 (O) 5〜9 (O) 10〜14 (O) 15〜19 (O) 20〜 (O)
アイオワ 1.00(1799) 1.00(2100) ◇1.08(5869) ◇1.11(9933) ◇1.13(43592)
0.98( 873) 0.98(1033) ◇1.09(2891) ◇1.13(4916) ◇1.15(21549)
1.02( 926) 1.06(1067) ◇1.08(2973) ◇1.09(5017) ◇1.12(22043)
シアトル 1.05(3580) ◇1.06(20318) 1.01(22434) ◇1.04(15885)  
1.07(1858) 1.04( 9865) 0.98(10905) 1.04( 7933)  
1.03(2022) ◇1.07(10453) ◇1.05(11529) ◇1.05( 7952)  

◇95%信頼区間は示されていないが、観察数(  )から有意となると推定されたO/E比
27項目中14項目で有意となると推定された。

表 8 肺気管支癌のO/E比(フッ素化の期間別、性別)

    フッ素化の期間(年)
  <5年 5〜9年 10 〜14 年 15〜19年 20年〜
アイオワ州 1.26(244) ◇1.45(314) ◇1.32(836) ◇1.54(1490) ◇1.46(6680)
1.17(188) 1.27(216) ◇1.24(622) ◇1.47(1156) ◇1.36(4778)
1.71( 56) ◇2.14( 98) ◇1.64(214) ◇1.84 (334) ◇1.77(1902)
シアトル ◇1.20(528)

1.00(2001)

1.03(3383) 0.97(2300)  
◇1.26(395) 0.98(1982) 1.02(2099) 0.92(1348)  
1.06(133) 1.06( 919) 1.04(1284) 1.04( 952)  

◇95%信頼区間は示されていないが、観察数(  )から有意となると推定されたO/E比
27項目中13項目で有意となると推定された。

表9 骨関節癌、骨肉腫(男)のO/E比(期間別、年齢階級別)

年齢 <20 20〜39 40〜79 全年齢
期間*a 前半 後半 前半 後半 前半 後半 前半 後半
 
(95%信頼区間)
(95%信頼区間)
1)骨関節癌 (男) 1.37 1.96★ 0.92 1.23 0.91 0.97 1.04 1.35★
   
(1.24-3.10)
(1.04-1.74)
2)骨肉腫 (男) 1.30 1.57 0.72 1.67 1.28 1.36 1.14 1.47
   
(0.86-2.89)
(0.96-2.25)
1)+2) (男) 1.37 1.81★ 0.87 1.32 0.98 1.04 1.06 1.38★
   
(1.26-2.61)
(1.11-1.72)

*a: 前半:1973年〜1980年   後半:1981年〜1987年
O/E比の95%信頼区間は10万人対罹患率と観察数から医薬ビジランス研究所で求めた。

表10 ダウン症出生率(米イリノイ州1万〜10万人の町:1950〜1956)

    フッ素濃度 ダウン症患者 フッ素濃度0群に対するオッズ比 ※
市町村総数 出生数 (mg/L) 人数 率(10万対) (95%信頼区間)
15
63,521
0.0
15
23.61
1
24
132,665
0.1-0.2
52
39.20
1.66 (0.93- 2.94)
17
70,111
0.3-0.7
33
47.07
1.99 (1.08- 3.67)
12
67,053
1.0-2.6
48
71.59
3.03 (1.70- 5.42)

χ2= 16.29 p<0.001   ※医薬ビジランス研究所で追加

表11 ダウン症の母親に占める40歳以上の母親の割合
     (米イリノイ州1万〜10万人の町:1950〜1956)

フッ素濃度 ダウン症 母親が40歳以上のダウン症 フッ素濃度0〜0.2 群に対するオッズ比 ※
(mg/L) 人数 人数 率(%) (95%信頼区間)
0.0-0.2
67
16
23.9
1
0.3-2.6
81
9
11.1
0.40(0.16- 0.97)

※医薬ビジランス研究所で追加

表12 Ericksonの第1調査 (Metropolitan Atlanta, 1960-1973)

  フッ素化地域 非フッ素化地域 オッズ比
  出生数 ダウン症 出生率 出生数 ダウン症 出生率 95%信頼区間
年齢   1万対   1万対 オッズ比 下限 上限
〜19
24,675
19
7.7
18,421
7
3.8
2.03
0.85
4.82
20〜24
59,420
41
6.9
37,500
15
4.0
1.73
0.95
3.12
25〜29
50,000
34
6.8
26,829
11
4.1
1.66
0.84
3.27
30〜34
22,124
25
11.3
11,818
13
11.0
1.03
0.53
2.01
35〜39
8,108
15
18.5
5,459
25
45.8
0.40
0.21
0.76
40〜
1,936
32
165.3
1,528
13
85.1
1.96
1.02
3.74
合計
167,677
166
9.9
101,176
86
8.5
1.16
0.90
1.51
                   
〜29歳
134,096
94
7.0
82,750
33
4.0
1.76
1.18
2.61
30歳〜
32,168
72
22.4
18,804
51
27.1
0.82
0.58
1.18

出生数※:ダウン症者数と出生1万人対ダウン症出生数から計算で求めた値
Metropolitan Atlanta: Metropolitan Atlanta Congenital Malformations Surveillance Program

表13  Ericksonの第2調査と第3調査

  フッ素化地域 非フッ素化地域 オッズ比
  出生数 ダウン症 出生率 出生数 ダウン症 出生率 95%信頼区間
年齢   1万対   1万対 オッズ比 下限 上限
   第2調査(NIS surveillance Areas, 1961-1966)
〜29歳
172,475
49
2.8
776,863
181
2.3
1.22
0.89
1.67
30歳〜
61,091
66
10.8
259,770
343
13.2
0.82
0.63
1.06
   第3調査 (NCHS data, 1973-1975)
〜29歳
353,148
90
2.5
169,416
48
2.8
0.90
0.63
1.28
30歳〜
79,432
88
11.1
34,769
42
12.1
0.92
0.63
1.32

出生数※:ダウン症者数と出生1万人対ダウン症出生数から計算で求めた値
NCHS: National Center for Health Statistics

図1

図2


非フッ素化国  :1−9
部分フッ素化国 :10.スイス(フッ素添加水道水が供給されている住民が全住民の3%未満)
         11.スペイン(同10%未満)、12.イギリス(同10%)、
フッ素化国 : 13.オーストラリア、14.ニュージーランド、15.アメリカ

図3


親の社会階層が「や」では水道水中フッ素濃度が低い地域ではう歯が多く、フッ素添加の効果も大きいが、社会階層が氓竇では、その効果は少ないといえる。