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書評コーナー

季刊誌56号より

作用メカニズムから見たコレステロール低下医療の危険性

作用メカニズムから見たコレステロール低下医療の危険性

■日本脂質栄養学会監修/西海出版
 ■ISBN-10: 4990280172
 ■ISBN-13: 978-4990280178
 ■B5版、130頁、価格2200 円(税別)


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本書は、2010年に刊行され、本誌41号で紹介した「長寿のためのコレステロールガイドライン」の続編です。 先のガイドラインでは、日本のコレステロール基準値の設定は低すぎると指摘しましたが、日本動脈硬化学会などがこれに反論し、医療現場は変わりませんでした。

しかし、2010年以降も国内外で様々な研究が発表され、米国心臓病学会/心臓協会のコレステロールガイドライン「ACC/AHA2013」では、 LDLコレステロール値を、ある基準以下にするというコレステロール低下医療は臨床的に有効なエビデンスがない、として放棄することが宣言されました。 これらの流れを踏まえ、新しいエビデンスを取り入れてまとめたのが本書です。

そして2014年4月、日本人間ドック学会と健康保険組合連合会が共同で150万人もの大規模調査の結果、 コレステロールの基準値はもっと緩やかでよいと示し、非常に話題となりました。

コレステロールは万病の元、悪玉(お主も悪よのう、というCMがある)と思い込まされているのは医学の素人だけではありません。 コレステロールを下げれば冠動脈疾患は防げる、と医療関係者や食品産業関係者も思い込まされています。刷り込みから解放されてください。(さ)