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書評コーナー

季刊誌53号より

読んでやめる精神の薬

読んでやめる精神の薬

■浜 六郎 (著)/金曜日
 ■ISBN-10: 490660594X
 ■ISBN-13: 978-4906605941
 ■18.8 x 12.8 x 2 cm 200ページ 価格1,300 円(税別)


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5〜6年前ごろから、「うつ」という言葉をよく聞くようになった。テレビや雑誌にとどまらず、 「今うつなんだよね」「うつっぽい」といった“告白”も何回か聞いた。当時私は、「それは“うつ状態”では?」 「医者にかかったわけでもなさそうだ」と内心受診を勧めたい気持ちがないでもなかったが、今思えば、 知人らは病院に行かずに正解だったわけだ。「うつは心のかぜ」と気軽に受診することで、大量に薬剤が処方され、 かえって心身の不調を来していたかもしれないのだから。

本書は、機会あるごとに薬剤の検証をしてきた浜六郎医師による、精神関係の薬剤に関する本である。 “心の病”に薬剤が不要な仕組みや、毒である仕組みが解説され、薬剤が心身に及ぼす影響を知ることができる。また、 睡眠剤を使うとうつや病気が増えることや、SRI(世間ではSSRIといっている)がもたらす他害行為などが具体的事例とともに紹介されている。 さらには、文部科学省が旗を振って「発達障害」が増えた背景にも鋭く迫り、統合失調症にもスポットがあてられている。

病院に行く前にぜひ読んでおくべき必読の書である。すでに医者にかかっている人も、減薬する方法などが詳しく 解説されているので参考になるはずだ。(お)