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書評コーナー

季刊誌52号より

首相官邸で働いて初めてわかったこと

首相官邸で働いて初めてわかったこと

■下村健一著 /朝日新聞出版
 ■ISBN-10: 4022734973
 ■ISBN-13: 978-4022734976
 ■17 x 10.8 x 2.2 cm 328ページ 価格860円(税別)


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元TBSキャスターの著者は、菅元総理に頼まれ、広報担当内閣府審議官として官邸で2年間働いた。その中でぶち当たった福島第一原発事故。 その時の政権中枢の混乱ぶりを間近で目撃したジャーナリストによる克明なリポートである。

「“政府が情報隠しをした”と批判されたが、 隠せるくらいの情報があれば、まだ良かった」という著者の言葉が印象的だ。

被災地から何の脈絡もなく押し寄せる大量の情報に、官邸はまったくうまく対処できなかった。原発事故対応で、 総理執務室には原子力安全委、保安院、東電からそれぞれ「助言者」の専門家が詰めていたが、「彼らは、次に何が起きる可能性があるか、 何一つアドバイスできなかった」「ソファに地蔵が3つ並んでいるという感じ」

彼らが唯一断言した「爆発はしません」が誤りだと分かった瞬間、斑目委員長は「あーっ」とうめいて頭を抱え、 そのまま黙り込んでしまったという。

ふだんの学者生活では経験しない、自分の発言が国の運命を左右するような場面で、“専門家”たちがいかにビビってしまうのか、 そのダメっぷりがよくわかる。厚労省の審議会にいるすべての専門家に「国民の命にかかわっているという自覚」があるのか聞いてみたくなった。(く)