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書評コーナー

季刊誌50号より

精神科医 隠された真実 なぜ心の病を治せないのか

精神科医 隠された真実

■斉尾武郎 著 /東洋経済新報社
 ■ISBN-10: 4492059369
 ■ISBN-13: 978-4492059364
 ■18.8 x 13.2 x 2 cm 211頁 価格1300円(税別)


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「精神科医はなぜこんなにおかしな薬の使い方をするんだろう…。」

これは、本書の「はじめに」の冒頭の言葉です。「内科にも外科にもありえない、“おかしな薬の処方”が 精神科には多すぎる」「なぜ、ここでこの薬を…?」「これで果たしてうつ病が治せるのかなと疑問に思う処方」 「疑問どころか、こんな処方ではかえって悪くなるではないか…と、あきれ返るようなデタラメな処方がどれだけあるかわかりません」 「医師を変えても、残念ながらまた、変な処方に出くわすだけのことも結構多い」と続きます。

「まえがき」の述べている思いを、強く抱くようになったのは、精神科医・内科医・産業医としての著者が、 他の医師が書いた処方箋や診断書を多数みてきたからです。豊富な臨床経験をまじえながら、日本の精神科医療の混乱を指摘し、 そのうえで、患者が自衛のためにどうするべきかを丁寧に、しかも独特の皮肉も交えて述べています。

この本に書かれている著者の考えは、まっとうなことと思います。個々の薬剤の評価では、 多少は考えの違うところはあるけれども、日ごろ評者が思っていることと、多くの点で共通しています。 患者にはもちろん、医師の反省にも役立つ良著。(ろ)