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書評コーナー

季刊誌45号より

原発のウソ

原発のウソ

■小出裕章著/扶桑社新書
 ■ISBN-10: 4594064205
 ■ISBN-13: 978-4594064204
 ■182頁 定価740円(税別)


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原発関連の書物はすでに手にとっておられる読者は多いかも知れませんし、小出さんの本もお読みかも知れない。 それでも紹介したい1冊です。今号の巻末に本誌編集部による小出さんへのインタビューを収載していますが、 そこでの質疑応答でもわかるように、小出さんの語り口は明快で平易で丁寧です。

本書では、福島原発はこれからどうなるか、放射能とは、汚染から身を守るには、原子力は未来のエネルギーなのか、 地震列島日本に原発を建ててはいけない、などを語っています。「原発の常識は非常識」という項目は、本誌が常々示している 「医学会の常識は非常識」に通じるものがあります。本書を読むと、専門家とされる人々が国とともにいかにウソをついてきたか、 情報を隠してきたか、今も懲りていないか、を思い知ることになり、正直なところ読み進むのが辛くなります。 事実を知ることの怖さから逃れたい心理が働くのかもしれません。

小出さんは希望を捨ててはいません。「起きてしまった過去は変えられないが、未来は変えられる」と述べて、 子どもたち、若い世代を守るために、原発を許してしまった大人(特に50歳以上)の責任ある行動を求めています。(さ)