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抗生物質治療ガイドライン(改訂版)

本書の概要

約20年前、メルボルン教育病院で抗生物質の耐性菌が相次いで出現したことをきっかけに初版が刊行されました。Therapeutic Guideline Limited が発行する分野別医薬品・治療ガイドラインシリーズの最初に出版されたものです。

オーストラリアでは、病院内での医薬品使用調査や、教育キャンペーン、国の出資による国民医療キャンペーンや地域での教育活動などでも、このガイドラインが参考資料として重用され、実際の処方行動の改善に貢献しています。

日本では、病院医療における抗生物質使用の3分の1から2分の1は手術時の予防使用であり、しかもその大部分が、手術後数日間使用され続けています。しかし、手術直前の1回使用だけで、手術後何日も使用するよりも術後の感染予防効果は優れるのです。そのことが、このガイドラインには明瞭に述べてあります。

改訂版(原著第11版:2000年の翻訳)をお届けします。1999年2月翻訳出版の前書(原著第10版:1998年))への追加情報が多く、耐性菌防止のための原則や、市中肺炎や院内感染肺炎治療に関するまとめの表、抗生物質による害作用のまとめの表などが充実しました。生物学的兵器となりうる物質の資料についても1章を設けて解説しています。

内容

  1. 第1章 抗生物質使用の原則
  2. 第2章 薬剤の基礎知識
  3. 第3章 循環器系感染症
  4. 第4章 中枢神経系の感染症
  5. 第5章 眼の感染症
  6. 第6章 消化管感染症
  7. 第7章 生殖器感染症
  8. 第8章 ヒト免疫不全症候群ウイルス(HIV)感染症
  9. 第9章 腹腔内感染症
  10. 第10章 マラリア
  11. 第11章 マイコバクテリア感染症
  12. 第12章 口腔および歯科感染症
  13. 第13章 手術時の抗生物質予防使用
  14. 第14章 手術以外の抗生物質予防使用
  15. 第15章 呼吸器感染症(上気道感染症)
  16. 第16章 呼吸器感染症(下気道感染症)
  17. 第17章 重症敗血症
  18. 第18章 皮膚、筋肉、骨・関節の感染症
  19. 第19章 全身感染症
  20. 第20章 尿路感染症
資料1 抗生物質の相互作用
資料2 害反応
資料3 抗生物質と食物
資料4 静注か点滴静注か
資料5 抗生物質の血中濃度モニタリング
資料6 潜在的生物兵器
資料7 妊娠、授乳時の抗生物質
資料8 抗生物質の小児用量
資料9 腎障害者への使用法
資料10 臨床的に重要な耐性について
資料11 減感作療法のプロトコール
訳補1 手術時、処置時の「直前1回」の普及を
訳補2 敗血症(sepsis)の定義
訳補3 抗生物質皮内テストの励行を
索引
抗生物質治療ガイドライン(改訂版)